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※追記あり【名作掘り起こし】江沢莢道さん『半分金魚』のポエムに胸キュンした話。

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昨日まで箱根旅行に行ってまして、一年の厄落としに温泉入って美味しいもの食べてのんびりしてきたわけですが、それとは別にちょっと胸を打たれる出会いをしてしまったのでメモ。

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これ。江沢莢道さんの『半分金魚』。120ページほどの詩集です。昼にホテルの本棚にあってパラパラ読み、切なくて胸に刺さる言葉たちが頭から離れず、夜中子供たちを寝かしつけた後再度本棚を訪れ、特別に貸し出してもらいました。(私は大体旅行に行くとホテルの本棚でその土地の名著とか探して読みます。こういう時は紙の本がいい。至福。)

どこか心に残る文体。ところが・・

全編を通して男性目線で好きな女性を見つめる視点で描かれる詩なのですが、その男性っていうのがいい。イメージで言うと村上春樹小説の主人公のような、胸キュンTwitterで有名なシンゴさんのような、どことなく不器用で文学的な人物を彷彿とさせます(あくまで個人的妄想です)。ちょっと理屈っぽく彼女を語る表現がたまらなく心惹かれるのです。

これだけ希求力のある文体の方ならさぞ有名だろうとなにげなく検索してみると、ほとんどヒットしない。著作も数冊あるのにアマゾンレビューはどれもゼロ。約10年前から新作を出されてないみたいで、書評ブログの1つも出てこない。

よく見たら新風舎刊なので自費出版だったんでしょうか。もうほぼ流通してないのかもしれませんね。もったいない〜!というわけで、私が書評ブログ第1号書きますw

代表作の数々

まずは著者の紹介。

江沢莢道(えざわさやみち)
1977年群馬県生まれ。詩人。2000年頃より、日常生活でこころを通り過ぎることばを書きためる。※奥付けより

「日常生活でこころを通り過ぎることば」。表現がいい!

表題作、「半分金魚」。
詩集をほとんど読まないので基準が分かりませんが、
少なくともたまの旅行で非日常に浸りたい
主婦(30)の心をがっちり掴みましたw

半分金魚

人魚とは違うんだよ
やっぱりあの赤いひらひらがないとね

夏の終わりのお祭りの日
僕も半被なんかではなくて
後ろに赤いひらひらを垂らしたかった
彼女たちのからころと響く下駄の後を
僕は裸足で付いて行った
男の子は神輿を担ぐんだと
決められたことを
理不尽という言葉は知らないで
ただ悲しく思った
彼女たちも小さな涙を
くすくす笑いの陰に隠している
僕たちが大声をあげて駆け出すように

女の子になりたいわけじゃないんだ
ただあの半分金魚みたいな
赤いひらひらがとても綺麗で
なんだか寂しい僕の気持ちを
そっと撫でていくようだったから
それを背中に生やしたら
やわらかくやさしく甘い気持ちに
なれるだろうなと思ったのだ

高2の夏。
好きな女の子をお祭りに誘えず
友達と遊びに来たはいいけれど、
何となく彼女の姿を探してしまう僕。

浴衣姿の女の子たちはとても可愛くて、
その後ろ姿を追いかけるうちに
彼女にたどり着けるような気がしたんだ・・・。
(あくまで個人的m・・)

こちらもいい。切ない男性目線。

北風

風は強い
僕は寒い
日は暮れていた

僕は立ち尽くす
連なるヘッドライトは
彼女の淡水パールのよう

星はチラリ
頭脳は揺れる
彼女の首は細かった

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逡巡

春も終わりに近付いて
気温は行ったり来たり
僕は鼻をぐずぐずいわせながらも
毎朝電車に乗っていて
そうして君に会いました

蝶の形の髪飾り
窓の外の菜の花は
もう散ってしまったけれど
君の髪はひらひらと舞う
左右の友達の話に合わせて
振り向き振り向き頷いて笑う
走り続ける列車の中
慣性の法則で取り残された
軽やかな声を少しでも拾おうと
僕は耳を傾ける

いつもの車両いつもの席
線路沿いの家や木が途切れるたびに
差し込む陽射しが眩しくて
僕は目を逸らす
その間に君の髪から
蝶が飛び立ってしまうのではと
心配する

こんな感じで、
全編少女漫画好きとしてはたまらない雰囲気です。

30分もあれば読めてしまう詩集なので、
旅のお供に、ちょっと胸キュンが足りない時におすすめでございます〜。

【追記】
これを書いた翌日、夫にこのポエムを読んだら白けきった顔で全力スルーされました。恋愛系ポエムとか興味の対局にあるらしいです。なかなか分かち合えないものですね・・・

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  • この記事を書いた人

ゆらまりえ

在宅ワーク× 正社員× 3児の母(8歳、3歳、1歳)。おまけにブログ書き。永江一石(@isseki3)事務所アシスタント兼、危険な受動喫煙撲滅党多摩支部長。裁量労働制で在宅正社員してます。青学日文卒 / 元雑誌編集者 / ブログリニューアル1ヶ月で1万5千PV

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